業務を徹底的に分析・整理した上で、
Sales Cloudの構築がスタート。
「Salesforce製品群の全社導入を検討する上で、まずはセールス、そして、サービス、製造へと水平展開していくという構想がありました。先陣を切ってSales Cloud(SFA:営業支援システム)を導入したのが、私の所属するマテハン事業営業部です。」(白竹さま/以下同)
製造業、物流業、食品、小売、医薬、化学分野など、同社の顧客企業は非常に幅広く、顧客が求める仕様や条件が全く異なるため、ほとんどの製品がオーダーメイド。数億~数十億円の商材となるため、商談期間も半年~数年におよび、さらに納入までの長い期間、営業スタッフが顧客対応を行います。
「Sales Cloud導入以前、引き合い案件管理をExcelで行っていたため、リアルタイム性に課題がありました。営業マネージャーは各案件状況を把握するために、絶えずヒアリングに追われる日々となり、コミュニケーションの往来に非常に多くの時間を費やしていました。また、地理的に離れた事業所間の連携も難しく、異なる商社経由の引き合いが、ふたを開けてみれば社内で競合になっていた、ということもあります。」
導入に際して、セールスフォース・ジャパンのコンサルタントが業務分析を行い、既存の業務フローや改善点を整理した上で、ベスト・プラクティスが構築を担当しました。
「どのように管理すれば使いやすいか? 本当に必要なレポートは何か? 営業力強化に繋がる運用とは? など、SFAの導入経験がありませんでしたので、当初はなかなかイメージが掴めませんでした。全国の営業マネージャーが集結し、3日ほど集中して仕様を決めていきました。」
導入の狙い
● 案件情報をリアルタイムで把握し、適切なフォローで受注確率を上げる。
● 全国の案件を一元管理・共有化。過去事例の検索性を高め、一次提案をスピーディーに実施。
● 各営業担当の状況を確認し、フォロー漏れによる受注損失を未然に防ぐ。
“全ての営業スタッフが必ずSales Cloudを使う”。
仕組みや仕掛けを随所に施す工夫。
「SFAを導入することがゴールではありません。受注確率を高め、売上を増やし、業務効率をアップしてこそ価値が生まれます。とにかく全ての営業スタッフが毎日ログインし、Sales Cloudに触れることが重要だと考えました。」
同社の環境には、細かな工夫が施されています。例えば、見積書に必要な「見積番号」は、Sales Cloudが自動発行。引き合いが入ると、必ずSales Cloudを通過しなければ先に進みません。
「刻々と変化する商談の『状況』も重要です。状況の変化もさることながら、営業マネージャーが把握すべきポイントはその『理由』。理由の入力がなければ、商談ランクや納期が変更できない仕様にしています。そしてそれらの情報は、リアルタイムで営業マネージャーへEmailで通知が届くようになっています。顧客情報を早期にキャッチでき、打つべき手を早め早めに実行することが可能になりました。」
「使わない理由」は作らせないが
「部署ごとの裁量」も必要。
「ただし、ルールに縛り付けて強制するのではなく、ある程度の裁量も必要だと考えています。Sales Cloudは、あくまで目標を達成するための活用ツールであるからです。現場から上がった『こんな追加機能が欲しい』といった要望も取り入れ、改善しながら進めています。」
現在は、ライセンスを拡充し、SE部門(技術部門)でも導入~活用を開始しています。同社の製品の特性上、見積には、顧客の要求に対して技術者がレイアウトや積算を行う必要があり、情報の一元化とシームレスな連携が実現されました。Tableauによるデータ分析も利用し、製品開発に活かしています。
そのほか、スケジュール管理に、Salesforce AppExchangeの「Calscket」を導入し、活動実績を含めた日々の細かな情報もSales Cloudに集約できるようになったといいます。
営業のプロフェッショナルは、SFAのプロではない。
一緒に考え、構築してくれる
インプリメント・ベンダーの存在が必要。
「Sales Cloudの導入後、業務効率、案件数や平均単価など、多くの指標が右肩上がりで伸びています。必要な情報がダッシュボードで把握でき、全体的なマネジメントがしやすくなったと感じています。これらのSFAとしての効果はもちろんですが、時間をかけるべき案件、注力すべき案件を『考えるためのツール』と捉え、活用しています。」
最後に、Salesforce導入を振り返り、これから導入を検討される企業さまへのアドバイスをいただきました。
「我々ユーザーはSFAのプロではありません。SFA専任の技術者がいるわけでもない。SFAには多くの製品がありますが、コスト重視の製品では、ユーザー自身の手で構築を行わなければならないものも多く、既存業務と並行することは難しい。結局、中途半端で終わり、メンテナンスもできなくなってしまいます。Salesforceには、ベスト・プラクティスのような “一緒になって構築してくれるインプリメント・ベンダー(導入支援会社)” の存在があるので、非常に良かったと感じています。」
導入効果
● 作業時間:78%削減、案件数:80%アップ、活動量:23%アップ、平均単価:66%アップ。
● 営業部門と技術部門との間でデータ連携がとれ、情報の一元化が実現。
● 顧客からの開発要望や、商談中のアイデアを集約し、組織営業力向上に寄与。
この事例記事は、2024年12月時点の情報となります。